昨日の続きー
平成29年3月5日、松野町で「奥内の棚田及び農山村景観」が重要文化的景観になった理由と題しての講演が聞きたくて、一路松野町に向かう。
だいぶ遅れたがとにかく走る。
残り香だけでも、行くしかないと決め、ギアを上げた。
会場で車を降りてアプローチを駆けた。教授の声が漏れている廊下の机には受付簿と鉛筆が。ここはステージ側でやばいが、ここで取り次ぐしかない。
外で素早く署名をしていると、別の声がした。
見上げると、私が尊敬している「ザ、仕掛け人」町役場の井上さんだった。
松野に嫁いだ娘がお世話になっているのであいさつをしたら、「会うのは初めてですね」と言われた。電話やフェイスブックでは以前から繋がっていたが、実際にお会いするのは初めてだった。嬉しかった。
実にフェイスブックは時空を飛ぶものだ。
講師の京都府立大学准教授の上杉和夫先生のお話が心に残った。
「棚田は全国に沢山あるが、ここの棚田はただ一つ、ここにしかない素晴らしさがある。地形と共に暮らし、生きる知恵が積み重なって引き継がれている。
私たちの住んでいる地域の、らしさを、みんなで評価して、未来に残しましょう。
素晴らしさは、他にもいっぱいある。棚田だけではない。
いつも住んでいる人は、その地域の良さに気がつかないことが多い。」
地元ではその良さを取り上げることが少ないからだ。
このことは、僕の周りにも言えることだ。
勇気をもっていいもの探しをしなければと思った。
写真は、地元からのご意見を述べられたお二人と活動家の山下石材さん、教育課の高山さん。
「うちの地域はあと500年は大丈夫」との地元の声に会場も沸いた。
先人から引き継がれている大切なものが、いろんなところにたくさんあり、後継者にも恵まれて、データによると、この地域の人口減少の割合も小さいという。
限界集落にはならない、その秘訣を垣間見たような気がする。
活動の記録を紐解けばこれまでに、皆さんの長い間の積み重ねがある。
一歩一歩、何とかしたい気持ちを、その専門家のご指導をもらいながらひとつずつ形と記憶に残している。
60才定年といわれるが、これも経済の視点側の言い方なのだろう。
各地に存在する小さい単位でまとめた集落には、人口に余裕がない。
誰かがやってくれるという期待をしてしまうが、それではいけない。
逆に60歳から子育と仕事が一段落した方々の力がとても必要なのだ。
80歳超えても頑張っておられる方がいる。
そして子供達と一緒に時間を共有して暮らすことが大切なのだ。
ここでは、とても大切なお話が聞けた。この先、具体的な動きが重要になってくる。
会場で質問があった。
「棚田を残して、将来どんな地域の発展があって、メリットが生まれると思われますか。」
上杉先生の答えは、「私が言われて、ぐさりときた言葉があります。”腹をくくりなさい”」
私も最近、同じ言葉を聞いた。
「腹をくくれ」
今週末を利用して、建築士会文化財・まちづくり委員会の一行として、九州の八女福島のまちづくりと長崎の歴史的建造物などを研修に行く。
その八女を再生されている北島先生も同じことを言われている。
とても重い言葉だが、八女の本拠地で味わってみたい。
つい長くなりすぎた。続きはまた・・