平成29年3月5日、松野町で「奥内の棚田及び農山村景観」が重要文化的景観になった理由と題しての講演会があり、いろいろ行事の重なる日曜ではあるが、どうしても聞きたい。
しかし、その前に耐震診断とその補強策のお話で、あるお宅を伺った。
今は大地震の発生が身近に予想され、その対策がやむにやまれぬ重要さを増している。
ただ単純に耐力壁の数を増やすのでは効果が上がらず、費用もかさむ。
建物にはウイークポイントがあって、そこに入れるとバランスが良くなって全体の量に影響するポイントがある。
そこを掴んで効果的に入るところまで繰り返しやってみると劇的に変わるので面白い。
また、建物が先人の誇り高き伝統構法で作られており、その時代背景、生活様式を表していて、近代遺産としての歴史的価値が高いということも見つけた。
何がその地域らしさで、何を残して磨き伝えていくかが、これから特に大切にしていくべきことだと思う。
思いを話し、相手に聞かれることへのやり取りは、とても大切に思えた。
今も地域が過疎化の波にさらされている。
うちの地区も後継者不足で将来の見通しは相当厳しい。
その中で、どのように町に誇りを持って住み続けるか、次の世代と共にどう過ごしていくのかが大きなカギになると思う。
このあとの講演会で、奥内の棚田はどうされて重要文化財になったのか、みんなの取り組みを知りたい。
その意味では今、耐震補強を施し、残すべきものをうまく伝えていくことも、その一連のつながりの中の一つであると思う。
診断調査から補強計画まで、精度を上げてやり方を詰めていくと、かなりの時間を要する。しかし先述のような思いや、将来に向けての話しをすることは、とても大切に思う。
押していた時間にとらわれることなく、今日はとても有意義な時間を過ごすことができた。
話が終わり、車が遠ざかるまでお見送り頂いている笑顔に、深く頭を下げた。
左を見ると、ご家族の車を磨く手が上がり、ありがとうの水しぶきが嬉しかった。
・・この続きはまた。