鬼北町節安の薬師堂で、戦国から受け継がれてきたという安産祈願の
「花とび踊り」があると聞き、見に行ってみた。


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道の上に建立されている「おたまや」と「薬師堂」を見上げ、開演前の一服を授かる。
「おたまや」 「薬師堂」とは?



日吉村誌によると・・・

父野川の富母里で、毎年旧暦1月16日、節安で祭るお薬師様に
花とび踊りが奉納されている。

(中略)

伝説によれば戦国のころ、高貴な身分の落人が、難産のため苦しんでいるのを救うため
長曾我部の武士たちと地元の農民が「花とび踊り」を踊り、節安のお薬師様に安産を祈願
した。

女は女児を出産したが、産後の病で母子とも死亡した。地元の人たちは手厚く弔って
お薬師様の並びに母子地蔵をつくって、その霊を祭った。これを「おたまや」と呼んでいる。
 
花とび踊りはこのころから踊り継がれているもので、はち巻き、たすき、わらじばきで真剣を
振りかざし、打ち鳴らす太鼓に合わせて踊るさまは、勇壮な中に柔軟さがあり、古い舞踊と
して高く評価されている。

・・・と記されている




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これは何か、御霊の登壇だろうか。
穏やかな日和の中、開演のご挨拶が始まると「ごおっ!」という音とともに木の葉吹雪・・・
考えられない一瞬の出来事は、このような聖地にふさわしい印とも思える。



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いよいよ「花とび踊り」の始まり・・・



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ここから安産祈願。
出産を迎える夫婦が紹介され、石段前に座ると
安産祈願の「花とび踊り」が奉納される。



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願解き。
安産の祈願が叶い無事出産したことを、神に対し還願する。
生まれた子供の名前が告げられ、家族(写真右)が石段前に
着座すると、願ほどきの祈願が行われる。



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まさに地域を挙げて祈願していることが素晴らしい。



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皆の心が通っている。



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2016.2.21の記念写真。それぞれに、優しい笑顔が満開♪




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芝令香先生が「郷土のお手本」と称賛されている意味が分かってきた。
集落移転によって転出した節安出身者や富母里地区の人たちの人口減少で「花とび踊り」の
存続危機が訪れた時、同じ日吉村の、他の地区の人々が伝統を守ろうと一緒に立ち上がり
踊りの練習に加わって、今に受け継がれているという。

よそのことを「うちのこと」として助け合う、日吉の方達の
まことに熱い郷土愛に触れることができ、心を打たれた。

日本人って、本当はこんなに温かいのではないのだろうか。

人を蹴落としてでも競争することがある中
助け合って生きてきた心を閉ざさないで
心に希望のともし火を持っていたい。



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郷土を愛し「清良記」にまつわる郷土史を、深く研究されている松本さん。(写真右)
少しスリルある山道だったが、車に同乗したことで、泉のように湧き出る面白い
お話を聞くことができた。

松本さん、大変お世話になりました。
そして芝先生のお誘いで「花とび踊り」を堪能出来たことに、感謝を申し上げます。